フルメタル・ジャケット 巨匠キューブリック監督が描く戦争の狂気

【あらすじ】

舞台は合衆国海兵隊の新兵訓練基地。訓練教官のハートマン軍曹は恐れを知らない屈強な海兵に育て上げるため、新兵たちに過酷な訓練を課していた。そして8週間の訓練は終了。兵士に必要な素養を身に付けた新兵たちは、ベトナムに派遣されるのだが…。

【見どころ】

今作は主に前半の訓練シーンと、後半の実戦シーンで構成されている。本来であれば見どころはベトナムでの過酷な戦闘シーンになるだろうが、物語の前半で新兵たちをシゴキまくる教官ハートマンが強烈すぎて、彼しか印象に残らないほど。
キューブリック監督いわく「若者が殺人マシンに変貌していく様子を撮りたかった」とのこと。この思いが強く出過ぎたのだろうか。
本編が始まって約30分間。教官ハートマンは新兵たちにひたすら下記のような罵声を浴びせ続ける。

「俺は人種差別はしない。黒豚、ユダ豚、イタ豚を見下さん。すべて平等に価値がない!」
「笑ったり泣いたりできなくしてやる!」
「パパの精液がシーツのシミになり、ママの割れ目に残ったカスがお前だ!」

などなど。これらはまだ序の口で、ここでは書けないような卑猥な単語も織り交ぜて罵倒を続け、新兵たちの娑婆気を徹底的に抜いていき、一人前の兵士に育て上げていく。ひたすらに浴びせる罵倒はアドリブも多かったようで、その豊かな表現力はスタッフの度肝を抜いたそう。脚本家も考え付かない台詞だったため、スタッフはそれらを書き留めるのに必死だった。

この教官ハートマンを演じたのはリー・アーメイ。彼は1971年に海兵隊を除隊した本物の経験者で、今作の指導者として製作陣に請われて参加した。実は教官役はすでに決まっていたのだが、リー・アーメイの演技が素晴らしかったため急遽変更。元々教官役に決まっていた俳優は、ヘリから狙撃しまくる脇役に追いやられた。

教官にいじめ抜かれる「デブのレナード」を演じたヴィンセント・ドノフリオは、今作のために14キロ増やしたが、キューブリックから「もっと増やせ」と言われ、結局36キロ増やして撮影に臨んだ。訓練シーンのキーマンであり、その衝撃的な結末はあまりに有名だ。

ちなみに後半の実戦シーンは、キューブリック監督が旅が嫌いで自宅を離れたくなかったことから、イギリスにあるイーストロンドンのガス工場跡で撮影されている。
※本ページの情報はDVD収録の「善と悪の境」から引用

■フルメタル・ジャケットとは
拳銃弾や小銃弾の一種で、弾体の鉛を銅などの硬い金属でほぼ完全に覆った弾丸のこと。「完全被甲弾」と呼ばれる。
鉛むき出しの弾は人体に命中すると体内で変形し、必要以上に深手を与えることから、ハーグ陸戦条約などで戦争での使用を禁じられている。
このことから、戦争ではフルメタル・ジャケット弾を通常弾として使用している。

  • 【監督】スタンリー・キューブリック
  • 【出演】マシュー・モディーン/アダム・ボールドウィン/ヴィンセント・ドノフリオ/リー・アーメイ
  • 【日本公開】1988年
  • 【原題】FULL METAL JACKET

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